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きらりと KIRARITO 春号

きらりと KIRARITO 春号表

きらりと KIRARITO 春号裏

前回のきらりとのテーマ「腸と体内時計の意外な関係」はいかがでしたでしょうか。
相互に影響を与え合う体内時計と腸内環境。
腸を良く働かせるためにも、腸に良い食事だけでなく、体内時計を整える習慣を意識することで、より深い腸内環境づくりに取り組んでいただけたら嬉しく思います。さて、今回は腸内環境シリーズ第7弾「菌のリレーで腸内環境を整える! ~より深い腸活のために意識したいこと~ 」です。
前回の「体内時計」に続き、腸を整える際に意識してもらいたい考え方の1つである「菌のリレー」についてお話をさせていただきます。ぜひご一読ください。


菌のリレーで腸内環境を整える!~より深い腸活のために意識したいこと~


腸内細菌のバランスと多様性

腸内細菌を良好に保つためには「善玉菌・日和見菌・悪玉菌のバランス」と「菌の多様性」が重要です。
特定の菌だけが増えてしまうと、日和見菌が悪玉菌に加勢することでバランスが崩れ、腸内細菌の多様性が低くなり、腸の機能に悪影響を及ぼすことで、様々な病気の要因となる可能性が示唆されているからです。
腸内に多様性のある様々な菌がバランス良く棲んでいると、腸内細菌は腸の免疫力のバランスを保ち、腸に侵入してくる病原性物や毒素などから身体を守る働きをしてくれます。


菌のリレーって何?

菌のリレーとは「腸内細菌のエサとなる食品を摂ることで、腸内細菌に短鎖脂肪酸を産生させる」ことを目的としています。
短鎖脂肪酸とは、整腸、便通改善、免疫調整など私たちの健康に有益な働きをする成分です。
しかしながら、食物繊維や善玉菌をただ摂るだけでは、短鎖脂肪酸は作れません。
腸内細菌はそれぞれエサにするものが異なるからです。
短鎖脂肪酸が作られるためには、少なくとも3ステップでの腸内細菌への「エサの受け渡し」のリレーが必要と言われています。
これが「菌のリレー」という考え方です。


菌のリレーの3ステップ

この3つのステップを腸内でうまくつなげることが重要なのですが、腸内細菌の種類が少なかったり、特定の菌の数ばかりが多かったりする腸では、菌のリレーが途中でストップし、腸活効果が十分に発揮されなくなってしまうおそれがあります。食物繊維や善玉菌を含む発酵食品を摂取していても腸の調子が改善しないようなら、摂取する食物繊維や菌の種類を変えて、排便状況など腸の様子を観察してみましょう。


「菌のリレー」に重要な栄養素ビタミンB1

ビタミンB1といえば、疲労回復の栄養素として有名ですが、腸のぜん動運動に関わるエネルギーの産生に必須であり、腸内細菌が食物繊維をエサにして短鎖脂肪酸を生み出す際のサイクルに欠かせない成分です。短鎖脂肪酸の1つである「酪酸」を生み出す酪酸菌は、ビタミンB1を作る遺伝子を持たず、周囲の菌が作ったビタミンB1や食事由来で腸に運ばれてくるビタミンB1を使って生き延びているため、ビタミンB1を摂ることは酪酸菌にとっても、重要であるといえます。
「菌のリレー」を意識しながら、自分に合った食物繊維や善玉菌とビタミンB1を摂り、より深い腸活に取り組みましょう。

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